水なすの水やりの基本
水ナスの栽培ほど水やりの難しい作物はないです。水ナスの果実は緻密で水分を多く含んでいます。そのため、水やりは晴天の日は何も考えずに毎日やり続ければいいように思われがちです。しかしそれでは根は張らず、水ナスの収量は落ちてしまいます。特に、定植から間もない期間に水を過剰に与えすぎると、その個体は、少し太陽が当たり過ぎただけで、水切れをおこす、根性の無い水ナスになってしまいます。個々の苗毎に水やりを行えるなら、それでもよいのですが、ハウス栽培などとなると、一度に、何百もの苗に潅水チューブで潅水を行いますので、一つ一つの苗にかまってやれません。だから、水なすと言えど、基本は、やや乾かしぎみに、乾く一歩手前で十分に潅水してやることです。こうしたことで、根をいっぱいに張らせます。これが結構、難しい。水ナスの水やりは、3年どころか、10年はかかって一人前になれる、と言う方もいらっしゃいます。
植え付け後の水のやり
植え付けが終わったら、十分に潅水して株元の土を落ち着かせます。根鉢を崩さないように植えると、3~4日で活着し、しおれなくなります。その間は1日1回早朝の温度が上がり始めた時間帯に潅水が必要です。それでも日中にしおれてくる株がありますので、見つけたらその株だけにジョウロで少しだけ水をあげます。ここで注意することは、一部の株がしおれてきたからといって、決して全体に潅水はしないことです。植え付け後、活着を促がすための潅水は、晴天続きの時でも通常1日1回で問題ありません。むしろこの時期に手軽に水やりできるので、つい水をやり過ぎてかえって活着や新根の成長を妨げてしまうことがあります。
活着すると成長点のある先端部の葉色が淡くなって伸び始めるのですぐ解かります。以降は水遣りの間隔を次第に広げ、土が乾きかけたら潅水するといった管理をします。乾き気味にした方が、根は水を求めてよく伸びます。日中に外葉が少ししおれても芯葉がしっかりとしていて、夕方にしおれた葉がピンとしてくれば、慌てて潅水の必要はありません。
春の水やり
実際の水なすの春の潅水は、基本は土の表面が乾き始めた頃を見計らってということです。土の湿り具合を確かめるには、所々のマルチを捲ってみて、指先を触れ確かめてみるのが基本です。それで乾き始めていたら、朝の気温が上昇し始めるころに全株一斉に潅水します。実際には、根が活着してからの冬の間や、春の間は、3~4日に1回位の水やりになります。
夏の水やり
端的に言えば、春に3~4日に1度の水やりは、梅雨明け後には2日に1度くらいとなり、さらに真夏には毎日となります。
水なすは、他のナスに比べると、豊富な土壌水分を必要とします。梅雨期は心配ありませんが、その後の真夏の高温・乾燥には弱いです。開花や結実が悪くなるのも、艶なしの「ボケナス」も、皮が硬くなったり日焼けするのも乾燥・水不足が原因です。ただし、こうした水やりの頻度は、どれだけ日常の整枝や葉欠きを頻繁に行なっているかということと重要な関連をもっています。枝葉が込み合い、不出来な果実が見るからに余分にぶら下がっていると言った状況では、1日1度の水やりでも次第に汚い畑となってしまいます。常に整枝や葉欠きをおこない、乾き具合を確かめながら水やり、と言った基本的なスタンスは夏の間の管理でも違いがありません。
水なす・露地栽培
以上がハウス栽培での水やりのポイントとなりますが、露地栽培では梅雨が明けると一転して晴天が続き、乾燥・高温にさらされるようになり、乾燥を嫌う水なすにとっては大変な環境になります。
畝の水分も急激に低下し、梅雨期の多湿で弱った根が吸い上げる水分だけでは蒸散量に追いつかず、日中に葉がしおれることがあります。この時はまず敷き藁を増やして地温の上昇、畝の渇きを抑えるようにすると、新しい白い根が発生してきて、しおれも直ってきます。
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