徳川家康、折戸なすを愛ス。

 海に囲まれた静岡県静岡市清水区の三保・折戸地区は、温暖で日照時間が長く、砂地で作物の生長が早いことから、促成栽培の発祥地といわれています。区内にある名勝「三保松原(みほのまつばら」は平成25年に「富士山~信仰の対象と芸術の源泉~」の構成資産として、世界文化遺産に登録されました。その三保松原にほど近い折戸地区で栽培されているのが折戸なすです。

折戸なすは三保・折戸の在来品種で当時の栽培につながると考えられている歴史ある作物です。
正月の初夢に見ると縁起がよいとされることわざ「一富士 二鷹 三茄子(ナスビ)」のナスともいわれ、徳川家康公が駿府に在城中、当時すでに、三保には早作りのナスがあり、徳川家には三保の折戸からナスの献上が行われていたとの記録が残っています。ちなみに平成27年は、徳川家康公がお亡くなりになられて400年の記念の年でした。

明治以降、農業情勢の変化により、その栽培は途絶えておりましたが、国の研究機関で保存されていた折戸なすの種を譲り受け、生産者と関係機関の連携のもと、試験栽培を開始し、平成17年に、地域で折戸なすの復活を果たすことができました。
 折戸なすは、艶やかな丸い形状とギュっとつまったきめ細やかな肉質、通常のナスにない濃厚な味わいが特徴です。2月に種をまき、4月に定植、トゲが鋭いため、果実が風で傷つかないようにビニールハウスで栽培をします。収穫は開花から約20日後、5月中旬ごろから一部のハウスで収穫がスタート、収穫の最盛期は6月から7月。出荷は12月ごろまで続きます。
一時期、折戸なすが途絶えた原因のひとつが収量の低さです。通常のナスに比べて折戸なすの果実は1/3程度しか実らないといいます。また原種に近いものほど、形が安定せず、同じ実の種からとれたと思えないほど形もさまざまで試行錯誤を繰り返しながら、それぞれの生産者が栽培の工夫を行っています。(次回に続く)
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