ホルモン処理は「トマトトーン」と言う商品を使って行なうので、通称「トン打ち」と呼ばれます。トン打ちは露地栽培では不要ですが、トンネル栽培では必須です。特にナスは35℃以上の高温や15℃以下の低温になると、花芽の分化や発育に障害が出て、開花しても落花したり、肥大も悪くなります。
水なすの栽培で、生育初期が低温になった時には、初期の花にトマトトーンの50倍液を開花時にスプレーで散布しておくと確実に着果し、順調に肥大が進みます。また早植えでトンネルをかけたときは、初期の花にはホルモン処理をしないと低温のため受精せず、「石なす」になる危険性があります。その他にもトン打ちの効果として、皮がより薄く柔らかくなること、種が少なくなること、収獲時期が短縮されること、などが挙げられています。いずれにしても、水なすのハウス栽培では、ホルモン処理は栽培の終始において必須です。
水なすの花は、なにもトン打ちしよい場所に、トン打ちしよい方向に咲いている花ばかりではありません。中には葉や枝に隠れている花びらもあります。またなにも花びらはトン打ちしよい方向を向いて咲いている花ばかりではありません。葉っぱの向こう側の見えない場所に、しかも向こう側を向いて咲いている花も多々あります。その様な場合、手を狭い隙間から伸ばして、花びらを出来るだけ優しく摘まんでこちらを向けてトン打ちすることになります。これが続くととても厄介なのです。なので、水ナスのトン打ちには根気と、忍耐力が必要です。
なお、ホルモン剤は開花した花だけに散布し、蕾や新芽にはかからないようにおこないます。また一度散布した花には、その後重ねて散布しないように留意します。2度トン打ちしてしまった花からは奇形果が育つ可能性が濃くなります。そのためホルモン剤を希薄する際に、緑や赤の食紅を混ぜます。散布済みの花であることを分るようにするためです。泉州地方の水なす農家の方々の手のひらは、真っ青や真っ赤に染まっていることが多いのですぐにわかります。(無害でお風呂に入れば取れるので心配はありません)。
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